うぐいすが細い枝の上を、器用に飛び跳ねながら雪を落としていた。"早く早くあなたたち、溶けてくださらないかしら"ぱくぱくと赤い実をくちばしで包み、食事を楽しんでいた。だんだんと、痩せた茶色い枝が姿を見せる。すると、またうぐいすは、高いところまで跳ねていき、雪を落とす。雪が地面の雪に落ちる優しい音がする。


まだ、夜明けのこと。


世界は白い。そして青い。夜明けはいつも、寒々しく、静寂で、二度寝をするチャンスの時だ。久しぶりにわたしは、二度寝をせずストーブに灯をともした。蛍光灯はつけず、まだ、5時を過ぎ長い針が下を向いている。この部屋の時間と空気に浸った。冬の匂いが部屋を撫でる。わたしはこの匂いが好きだ。不完全燃焼や、ストーブを点けたときに発生する匂いで、体に悪い。だが、この臭いに触れないと冬が始まらないのだ。もう、3月である。


うぐいすの頭の後ろの、滑らかな黄緑色が好きだ。黄色がかった、なんとも美味しそうな膨らみ。和菓子でそのような商品が合ったら、食べてみたい。窓越しのうぐいすは、とっても隙だらけである。こちらをすらっと見ては、枝の上で勿体ぶる。できた女だ。彼女はきっと、きれいな声で鳴くだろう。


珈琲を飲みたいと思った。すぐにやかんに水を入れ、ガスレンジで火にあてる。目を閉じると眠ってしまいそうなもうろうと、冬の臭い。加えて、瓶から出された珈琲の香り。全てが贅沢におもえた。真っ青な芸術品。


かふかふかふかふ。


やかんがよんでいる。
少しの間眠っていたようだ。目尻が引き締まる。慌てて、火を消しドリッパーにお湯を注ぐ。ふわりと珈琲が香る。外はいつの間にか、太陽が低い位置でゆっくり、雪に光を当てている。山に影がかかる。白い世界が黄色く鮮やかになっていく。


窓越しのうぐいすが飛んでいく。飛び立つ振動で、雪が落ち、枝の先にみのむしを発見した。



ホーホケキョ

 

新しい朝をわたしはみた