感性税

 

世界は変わり果てた。

 


太陽光までもが人類に支配されてしまった世のなかはどうも、生きにくい。どこまで征服しようとしているのだろうか。100年後には、空気を買う世界になっていたりしないだろうか。私は考える。いや、想像をする。空気を買う瞬間を。

ひょろりとした変な男に出会ったのは、空気の吸い方について考えていた時だった。枯れ木も花も景色もなにもない道で彼は鉛筆を転がしていた。なにもない場所だったから私は彼をも何でもないものとして、過ぎて行こうとしたが、彼は私を認めた。

 


「今じゃ、何をするにも金だ。何でこんなになっちまったかね。」

 


「お金がなくても、出来ることはいくらだってあるじゃないですか。歌だって歌えますよ」

 


変な男は周りをゆっくり見渡すと、私の目を睨み付けた。

 


「俺はな、昔から音楽だって絵だってやってたんだ。ただな、理解のない奴等は、音を出すのにも絵にするにも金をとるんだ。感性税をとるんだよ。」