春ね。

 

生温いガーゼに包まれるような風にのって今年も春がやってこようとしている。昨年の春はどうにも厄介なやつでした。何回だまされたことか。わたしは七部丈なんて言ってみたけれど、今年は素足になれるまで。また、ほら、春が来るの?春に聞いてみたの。「また言ってるのかい。そうやって今回も気づかぬうちに春はやって来るんだ」そうね。って思った。だって気付けば私、夏も秋も冬も越えてきたんだっけ。今回は春の方が上手みたい。素足になっちゃえばいいのよ。そう言ってるんだと思った。

先週、駅までの道を走っていたら「ほーほけきょ」なんて声掛けてくるもんだから心の中で「まだはやいんじゃないの」なんて呟いたの。足は進んでゆくから実体はみていないんだけれどよおくわかるわよね。春が近づくと黄緑色したぷっくり甘い和菓子のような鳥が木に留ってこちらをみているの。「やあ」なんていうと「ほーほけきょ」ほら、また。春を連れてくるから、私は「まだ早いよ」なんて目を合わせながら心の中で。