ばんそうこう

 

いつも彼女がばんそうこうをしている理由。

 

「僕は心配して欲しいんだって思うんだ」

「いや、違うね。君は知らないんだろうけど、

 彼女は物書きをしているんだよ。ほんのずっと前からね」

「いや、それは知らなかった。でも、何故ばんそうこうなんだい?

 しかも左手の指だろう。中指の第一関節、俺にだってそんなのわかりきってるよ」

「君はほんと何も知らないんだな」

「どういうことだ?」

「彼女はだな、話の中の女の気持ちを知りたかったんだよ。

 女は、結婚していて新鮮さ、人妻だもんな。だろうけど、傷物なんだ」

「なるほど。おまえ彼女に聞いたのか?」

「いや、ただの妄想さ。」

「でも彼女、結婚してたよな」

「さ、帰ろう。」


わたしがばんそうこうをしている理由。

 

落ちていたの。ただ、それだけよ。どこかにつけてみたい衝動に駆られたの。

でも、どこにも傷なんて無くってね。わたしは、あの人の女になりたかった。

でも、私の紅差し指には、そう薬指。には、すでに重りがあるの。

第二間接にばんそうこうを。その指で下唇を赤く濡らすの。

そして、あなたに逢いに行くの。

あなたは言ったでしょう。

ばんそうこうを指差して。

「また、やったのか」

笑って言ったでしょう。嘘を言ったの。

太陽が罵って私を包む。許して。ゆるして。だれか。きづいてる?