そろり

 

空気を吸うと全部なくなってしまうそうな空虚感が、

わたしの胸と肩にかけてのろのろ歩いてくる。

そろりそろりと、それは砂糖水のようにぽたぽた胸の縁を流れ、

あたたかい心臓が全て受け止めてくれる。

伸ばしすぎた足の爪は、なんだかいとおしくて私は切れずにいた。

そんな恥ずかしいままビーチサンダルを履き、水で濡れた道の上に立っている。

そこで頭に浮かぶのは、手打ちうどんとか、ドリッパーとか、スプーンとかなのであります。

陽はもう落ちていた。

言葉で繋がる必要はないと、

ただ、抱き締めたり、口づけをしたり、見つめあったり。

安心をするのに名前が必要かどうか。

歌を教えるのは音楽の先生だけかしら。

ごろごろ。